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●自然界のランダムを考える


物理の究極の統一理論とされる「超弦理論」の本を読んでいると、自然界の法則や現象が「図形」と密接に関連していることがわかります。
もちろん超弦理論自体はちゃんと証明されたものではありませんが、多くの物理学者が真実であると期待して日夜研究に取り組んでいます。

その超弦理論によると、今まで「大きさのない点」だとされていた電子や光子やクォーク等の素粒子は、その大きさが0.000000000000000000000000000000001ミリメートルという超ミクロの大きさの弦(ひも)でできているとされます。大きさがゼロ、つまり0次元だったものから、非常に小さくはありますが有限の長さを持つ1次元になったのです。そして全ての素粒子はどれも同じ弦なのです。光子とか電子とかクォークといった違いを生み出しているのは、その弦の振動のしかたによるとされます。
ではその弦はどんな形をしているのか? 現在、それは「カラビ・ヤウ多様体」という10次元時空にまたがる超ミクロの形状をとっていると考えられています。これは単なる想像ではなく、厳密な計算から導かれるものです。時空が10次元であるときにのみ、以前の記事で書いた16種類の素粒子と極めて似た性質をもつ弦の振動が現れてきます。5次元や100次元などの他の大きさの次元では成り立たないのです。

自然界の最も根源的な部分で「図形(この場合はカラビ・ヤウ多様体)」が非常に重要な役割を果たしているんですね。その形によって電子や光子ができたりできなかったりするわけです。こういったことを日々本で読んでいると、普段の生活でも自然界の様々な形にどうしても目が行くようになります。下の写真は出勤中に見た海岸の様子ですが、面白いことにこんな自然の中でも、まるで計算式で作られたような曲線が現れたりしているわけです。この写真ではちょっとわかりにくいですが、海岸はあきらかにサインカーブ状に侵食されています。



この海岸は、大きなスケールでの輪郭は直線に近い緩やかなカーブを描いていますが、部分で見るとサインカーブ状に侵食されています。一色海岸でも同じような場所があります。こういった形状を見ると、自然現象は計算式で表現できるのだなぁと感じてしまいます。僕らはCGでシミュレーションをするときは乱数だとか何かしらランダムな要素を加えて、作為的な印象をなくす工夫をするわけですが、よくよく考えればあらゆる自然現象が物理法則に従って起こっているならば、そこには本来「ランダム」という要素はないはずですよね(量子力学は別ですが)。要は、きちんと物理法則に従って行動している複数の要素が混ざり合うと、それがランダムに見えるのだなぁと、この波による侵食を見て思うわけです。

そんなことを踏まえて、試してみたのが下記のMELスクリプトとカーブです。

string $cmd = "curve -d 1 ";
float $y, $y1, $y2, $y3, $y4, $y5;

for($i = 0; $i < 500; $i++) {

   $y1 = sin($i/1.5);
   $y2 = sin(($i+1)/2.6)*2;
   $y3 = sin(($i+9.5)/7.5)*5;
   $y4 = sin(($i+24.5)/25.7)*8;
   $y5 = sin(($i+51.5)/70.5)*20;

   $y = $y1+$y2+$y3+$y4+$y5;

   $cmd = ($cmd+"-p "+$i+" "+$y+" 0 ");

}

eval $cmd;


カーブの$y1〜$y5、$yはそれぞれ上のスクリプトの4行目から9行目にある式によって生成されたものです。
$y1から$y5までは純粋なサインカーブで、$yはそれぞれを足したものです。
ひとつひとつは数学的なきれいな曲線でも、それらが足されるとまるでフリーハンドで描いたようなランダムな線になります。地形もまさにこんな感じでできているんだろうなと思います。


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